噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】


「え・・・・・あの人、目が見えないの?」

「あぁ、生れつき目が見えないらしい。だからって、火を扱う以外はなんでも一人で出来るらしいよ。」


膝に乗せた雪稀の頭を撫でながら、昼間のことを話していた。

冷やしたタオルを目に乗せているから、どんな顔をしているのか分からないけど

きっと、不安と驚きとで複雑な心境なんだろうな。


それでも、少しでも雪稀の中にある不安が

拭えるのなら・・・雪稀が聞きたいと思うのなら

すべてを話してやりたい。


「じゃぁ、あのホテルは・・・」

「あぁ・・・あのホテルは取締役が出張の時によく使うホテルで、今回もあのホテルを予約してたんだ。で、彼女がそこのレストランで良いっていうから。最上階のレストランで食事をして、その後部屋に案内して別れた。」


もちろん、案内しただけ。そう付け加えて――――――


「私の・・・勘違い・・・」


小さくつぶやく声。


「そ。雪稀の早とちり・・・でも、嬉しいかも。」

「え?」

「だって、それってヤキモチ妬いてくれたって事でしょ?」

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