噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
チッ・・・
この際、何があったかなんてどうでもいい。
でも、きっと陸玖にぃ絡みなんだろうけど。
今はアイツを追いかけなきゃ。
じゃなきゃ、アイツは・・・雪稀は消えてなくなる。
淡雪のように――――――――
何故だか、この時俺はそう思えた。
俺は体を反転し、自室へと向かった雪稀を追いかけた。
「雪稀、待って・・・雪稀っ。」
体格差もあるし、ましてや男と女だ。
すぐに雪稀には追いつくことができた。
ちょうど自室に入る手前、彼女の白くて細い手首を掴んで引き寄せる。
でも、雪稀は泣いているのを隠そうとしてか
こっちを振り向かない。
「イヤっ、放して・・・ふっうぅ・・・」
「ダメだ、放さない。絶対、放さないからっ。」
体に回した腕を、ギュッと強くして抱きしめる。
すると、雪稀は観念したかのようにその場に崩れ落ちた。