噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

そんなある日。

親父と一緒に家に帰ってくると

応接室で、雪稀のご両親と彼女が待っていた。


最初は笑顔で挨拶を交わしていた、親父と彼女のご両親。

でも、暫くするとは真剣な面持ちで、話をし始めた。


「りっちゃん。ご本、読んで?」


雪稀は、小さな手で抱えるように一冊の絵本を持って

俺を見上げる。


幼い彼女は、俺の事を“りっちゃん”と呼んでいた。

ちなみに、海翔と空良の事は

“かいちゃん”“そーちゃん”だった。


「陸玖くん、すまないが雪稀と遊んでやってくれないか。」

「あ、はい。」


雪稀のお父さん、拓登さんに言われ

たぶん話が長くなるんだろう、と思い部屋を出る事にした。


「ゆきちゃん、あっちの部屋で読んであげるね。」

「やった♪」


雪稀は、パーっと顔を輝かせて

嬉しそうに、とび跳ねた。


そんな彼女が可愛くて、つい頬が緩む。

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