噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
隣の部屋に来た俺達は
ソファに座り、雪稀がもってきた絵本を開く。
彼女が持っていたのは“星の王子さま”
俺は、彼女に言われるまま
キツネに出会うところから、読み聞かせ始めた。
そして、最後まで読み終えると単純な疑問が浮かんだ。
決して幸せとは言えないこの物語。
なぜ、こんな小さな少女が読んで欲しいって
持ってきたんだろう。
「ゆきちゃん、この本好きなの?」
「ん~、分かんない。でもねお父さんは、もうすぐ“星の王子さま”になるんだって。」
「星の王子さまに?」
「うん。ここから、遠い星に行っちゃうんだって。」
「じゃぁ。ゆきちゃん、寂しいでしょ?」
「ううん。ゆき、寂しくないよ。だって、空を見上げればいつだってお父さんに会えるって言ってたもん。」