噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
彼の雇い主であり、主の名は、華月志乃(かげつ しの)
老舗旅館、華月堂の現当主。
『華月』とは、父の旧姓であり
彼女は、父のお母さん。つまりは、私の祖母だ。
祖母は、私のお母さんの事を憎んでいるらしい。
たった一人の息子の心を惑わし、華月からも奪った。
そして、お父さんの事も裏切られたと強く思っているらしい。
だから勘当し、孫である私が生まれてからも
連絡は一度も入れていなかったそうだ。
息子である、お父さんが亡くなった時でさえも。
その祖母が、今回仕組んだ事とは
華月家と提携を結ぶこととなった氷野グループの次男
氷野彰次と、私を結婚させること。
たとえ勘当したとしても、母方の苗字になっていても
この体に流れるのは、紛れもなく華月の血。
経営難に陥っている華月の『犠牲』になれ
いや、祖母からすれば
泥棒猫(お母さん)の血が半分入ったとしても
お前を華月の人間と認めるのだから
光栄に思え・・・そういっているのだ。