噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

近づいてくる彰次の顔。

私の顔に影が落ちてきて、そして――――――――


「イヤッ」


顔を横に逸らし、キスを避けれたと思ったのに

次の瞬間には、顎を掴まれ正面に向けられた。


抵抗しようと彼の胸に両腕を押しやって思い切り力を込めるけど

男の力には勝てなくて・・・


「無駄だよ。」


クスリと口角を上げると、そのまま唇を近づけた。

もうダメだ、そう思った瞬間ギュッと目を閉じてしまった。


そして、唇に柔らかなものが触れ

それは角度を変え何度も何度も味わうように口付された。


んっ・・・気持ち悪い、嫌だ・・・



気持ち悪いのと、悔しいのと

そして息ができない苦しさとで、彼の胸をトントン叩き付ける。

それと同時に、目から涙が滲んで一粒零れ落ちた。


すると、チュッとリップ音を立てて唇が離れる。

離れた途端、私は息を思い切り吸い新鮮な空気を肺に送り込んだ。


「っ、はぁ・・・」

「ふっ、そんなに良かった?俺のキス。」


何を考えてるんだろ、この勘違い男は。

ありえない、こんな男。


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