噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
いろいろな報告をしていたのか
はたまた、今回の事件の事を相談していたのか
5分にも10分にも感じられた数分間のあと
「拓ちゃん、行ってくるわね。」
強く揺るぎのない瞳を輝かせ、彼女を墓石の前を後にした。
「ほら、何してるの?颯馬ちゃん。行くわよ~」
振り返ることもなく、長いウェーブが掛かった黒髪を風になびかせ
手をひらひらとさせた。
「あ、ちょっ。待ってください、真純さんっ。」
じゃぁな、拓登。
雪稀ちゃんは俺と真純さん、あと息子達とで必ず助けるから。
そう無言の約束をすると、駆け足で真純さんの後を追った。
「ありがとう、颯馬さん。」
珍しく、俺を”さん”付けで呼ぶ真純さん。
きっと緊張しているんだろう。
それもそのはず、あの人に会うのは・・・拓登と別れるように言われた時以来だと思うから。
「さぁ、行きましょうか。あの人のところへ。」