噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

部屋に響いた音と声に驚いた彰次は

バッと扉の方に顔を向けた。


私は、彰次の背中の所為で見ることはできなかったけど

声で分かった。


部屋に駆け込んできたのは

間違いなく海翔さんと、空良さんだ。


やっぱり、来てくれた。

良かった・・・


「お前らなんなんだよ、さっさと出ていけっ」

「ふざけんな、てめぇ。」


怒りのこもった、低い声でそう空良さんの声が聞こえたかと思うと

次の瞬間、私の目の前にあった背中が無くなった。


「雪稀、大丈夫か・・・。」

「そら、さん・・・」

「っ、ゴメンな。遅くなって」


シャツのボタンは引き千切られ

下着は外され、露わになった上半身。

スカートも捲れ上がった状態の私を見た途端


泣きそうな顔になりながら、空良さんは

着ていたジャケットを脱ぎ、私を覆うように被せてくれた。


「来てくれて、ありがとう。」

「雪稀・・・」


そのままギュッと抱きしめてくれた。

ホッとしたのか、それとも空良さんの体温が温かかった所為か

だんだん視界が滲んできた。



< 213 / 264 >

この作品をシェア

pagetop