噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

「雪稀、俺も海翔と同じだ。雪稀がどんなに辛かったか、どんなに苦しかったか・・・どんなに悔しかったか。こいつに思い知らせなきゃ気が済まない。」

「で、でも。空良さん・・・」

「大丈夫。そこで見てて。」


空良さんは私の方を見ながら、そう冷静に言った。

いつもとは逆だ。

いつもなら、空良さんが先に手を出して

海翔さんが冷静に止めに入るのに。


私が止めに入らなきゃいけないって思うのに

足がすくんで思うように動かない。


私は、祈るように空良さんが掛けてくれたジャケットを

両手でギュッと握りしめた。




「雪稀、大丈夫かっ?!」


もう一度、海翔さんが拳を振り上げたと時だった。

陸玖さんが私の名前を呼びながら、部屋に入ってきた。


「陸玖さんっ。」

「陸玖にぃ、遅すぎ。」


私の声と、空良さんのちょっと冷めた声が重なる。


「あ、雪稀。良かった・・・遅くなってゴメン。」


< 219 / 264 >

この作品をシェア

pagetop