噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】
「雪稀、俺も海翔と同じだ。雪稀がどんなに辛かったか、どんなに苦しかったか・・・どんなに悔しかったか。こいつに思い知らせなきゃ気が済まない。」
「で、でも。空良さん・・・」
「大丈夫。そこで見てて。」
空良さんは私の方を見ながら、そう冷静に言った。
いつもとは逆だ。
いつもなら、空良さんが先に手を出して
海翔さんが冷静に止めに入るのに。
私が止めに入らなきゃいけないって思うのに
足がすくんで思うように動かない。
私は、祈るように空良さんが掛けてくれたジャケットを
両手でギュッと握りしめた。
「雪稀、大丈夫かっ?!」
もう一度、海翔さんが拳を振り上げたと時だった。
陸玖さんが私の名前を呼びながら、部屋に入ってきた。
「陸玖さんっ。」
「陸玖にぃ、遅すぎ。」
私の声と、空良さんのちょっと冷めた声が重なる。
「あ、雪稀。良かった・・・遅くなってゴメン。」