噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

私は、思いっきり陸玖さんの両腕を掴み

彼の思考を止めに掛かる。


でもその行動がいけなかったのか

肩にかけていた、空良さんのジャケットがハラリと床におち

彰次に引き千切られた、シャツが露わになった。

結果、見せたくなかった素肌が

陸玖さんの目に触れることになってしまった。


「っ・・・これ、アイツにやられたの?」

「え・・あ、いや。これは、あの・・・ごめんなさぃ。」


彼の視線が、首元からすっと下に向いたのに気が付いた。

彰次に触れられてしまった素肌。


居た堪れなくて、陸玖さんの視線を外したくて

シャツを手繰り寄せ、胸の前で合わせながらその場にしゃがみ込んだ。


「・・・女の子に、こんな傷負わせるなんて。」


陸玖さんの顔が見れなくて、俯いてると

すっと温かくて大きな手が頬に添えられ、優しい声が降ってきた。


「ゴメン・・・全部、俺の所為だね。」

「違っ、りっちゃんの所為じゃ・・・。」

「海翔、俺にも殴らせろ。」


静かに怒りのこもった声が聞こえた。

慌てて見上げた陸玖さんの顔は、無表情で

眼鏡の奥にある瞳は、冷たく光っていた。


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