噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

志乃は、キッと真純を睨み付け言い放つ。


「お前が、あの子を誑(たぶら)かさなければ・・・この、疫病神っ」

「疫病神って・・・あなたっていう人は。」


拳を握りしめ、今にも掴み掛りそうな颯馬の腕を握り

「いいから」と制し、一歩前へ進み颯馬の隣に歩み出た真純。


「私になら、どんな言葉でもどんな仕打ちでも甘んじて受けます。ですが、あなたは私の命とも言える娘に手を出した。何故ですか?何故、あの子を巻き込んだんですか?!」

「私から息子を奪った、お前が何を言うかっ。」

「私はっ――――――」

「真純さんは、一度は拓登と離れようとしたんです。でも、拓登が真純さんを手放せなかった。」

「嘘おっしゃい。あの子は、この女に騙されたのよ。でなければ、あの子が私達を無視して出て行ったりしない・・・全部、何もかもお前の所為だ。あんなに早く死んでしまったのも、全て・・・。」


真純は、拳をギュッと握り志乃の言葉を受け止めるように俯いた。

それを肯定と理解したのか、さらに言葉を投げつけた。


「あの娘の身体には、華月の血が入っている。ならば、この華月堂の為に身を捧げるのは当たり前でしょう。汚らわしいお前の血が入っていようと、この華月の為に出来るのだから感謝されど非難など以ての外だわ」


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