噂の三兄弟と遠い約束【Berry's Cafe限定】

「それに、あなたが手を組んだ氷野は・・・あなたを利用しようとしたに過ぎない。この華月を救おうとは少しも考えてはいません。」

「嘘よ。息子はおろか、私まで騙そうとするの。本当になんて女なの。」

「嘘ではありませんよ。これをご覧になってください。」


颯馬は、懐からスマホを取り出し

リアルタイムのニュースチャンネルを映し出した。


『先ほど、警察が強制捜査に入った氷野グループでは、間もなく社長である氷野総一郎が逮捕される模様です。』


映像は、氷野グループ本社があるホテルの玄関先。

数十人の報道陣に囲まれ、フラッシュが幾つも瞬いて

一人のアナウンサーが、息も荒く状況を報じている。


場面は切り替わり、テレビ局のスタジオの映像に―――――


『驚きましたね。最近、ホテル業界で業績を伸ばしていた企業だけあって有望視されていたのに、残念ですねぇ。』

『まさか暴力団と手を組み、覚せい剤の密売場所と化していたとは・・・・』


ジャーナリストやコメンテーターが口々に批評を言い放つ。

その様子を、ジッと見つめていた志乃。

しかしだんだん顔が青ざめ、わなわなと震えだす。




< 228 / 264 >

この作品をシェア

pagetop