神名くん
神名くんが私を抱え、屋敷を少し徘徊し、2階に上った時には流石に降ろして貰おうと試みたのですが、
「大丈夫。にのは、にのが思っているよりは軽いから。」
あの、優しい笑みで私に向かって言ったのです。流石の私も驚きを隠しきれていなかったのでしょうね、私の表情をみて、ひとつ彼はくすりと笑ったのです。
私はもう、彼の好きな様にしようと半分以上諦めてしまいました。この時には既に私は相当神名くんに心を許していた様な気もします。何故か彼といると落ち着いてしまうのです。
出会ってしまってからこの心地をずっと味わっていたので、今ではすっかり毎日神名くんの家にいないと私は駄目になってしまっていて…。お恥ずかしい限りです。
そして、神名くんが私を抱えたままあるひと部屋に止まりました。扉を開ける為に私を支えていた両方から片方引き抜くと、すっととってを下ろし、扉を開けました。とても洗礼された動きについつい目が奪われてしまったのは秘密。
中に入ると、先程の客間よりは狭いですがやはり普通の家庭の家よりはやはり大きい洋室です。窓の方に、社長室や校長室にあるような大きな机が威厳を保って佇んでおり、それを見守るかの様に壁に沿って本棚がひきつめられていた。
本棚にはこれまた、大きさ、色がそれぞれの本が引っ切りなしに詰められていた。