神名くん



神名くんは、私の手を引き、先を歩き出したのは急でした。目を見開き驚いた私でしたが、彼に追い付かんとした為少々小走りに彼の後ろをついて行きました。この校舎にある二カ所の階段でもあまり人通りが見られない階段を選び彼は上り始める。



私は、あまり体力があるというわけではないので、3階目程の階段で既に息は切れていました。ですが、私たちの先程いた階が2階、そして、この校舎は全部で6階です。その6階まで上りつめ、更には立入禁止の札が下がっている屋上行きの階段までもを神名くんは、上りました。



神名くんは、何処から持ち出したのかは知らないのですが、屋上の鍵を差し込んでいました。彼は新任ですよね、と疑う程のスマートな動きに目を疑わずにはいられませんでした。



ガチャリと音と共に屋上への隔たりが失い私たちは屋上へと進入することが出来ました。外は、やはり少し寒さが残る気温で頬に当たる風が冷たく感じました。肩を竦め首元にまだ暖かい手を持って来て温めるという作業をする間に、神名くんは、屋上の鍵を外からかけていました。



扉から、離れると伸び伸びと腕を空に伸ばしリラックスをとっています。私はそんな神名くんをじっと見つめていました。彼はそんな私に気が付いたのでしょう。こちらに振り向きニッと満面の笑みを私に向けたのです。



そんな、神名くんにしっかりと私はときめいてしまったのは内緒ですけども。





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