神名くん
私は、名簿から順にいけば見事に最後なのです。何せ新学期早々から席は窓際の1番後ろなのですから。名簿の作りからして、男子が先に順に並んであり男子が終了したならば次は女子の名簿の並びの順になっている。
神名くんは、『しちゃお』、と気楽に告げた直後に『男子から順に名簿順で。』と告げた。まだあやふやなクラスは、自分の番号をまだ完全に覚えていなく時々神名くんが名前を呼んで自己紹介させていた。
その光景はどこか亡くなった久水先生と重なり懐かしさが込み上げてくるものでした。周りの皆も楽しく和気藹々としているので久水先生が亡くなられただなんてもう過去の事になっているようで、胸がキュッと痛むのです。どうして痛むのかは私自身でも解らないのですから、きっと誰かに聞いたとしても知る筈がないのですよね。
ぐっと来る塊を飲み干さんと私は必死で努めるのです。努めている間にも私の出番は刻々と迫っているもので、私は必死に下を向いていました。もう、授業も終盤に差し掛かった頃に私の番となった。
ゆっくりと恐る恐る立ち上がり神名くんを見る。すると神名くんは、楽しみそうに笑むのです。私は何を言えばいいのか解らないので口を開きます。すると、今まで努めて飲み込もうとしたものが一気に逆流したのです。
急に頬を伝う涙はあまりにも温かいので驚いた事だけは確かです。