神名くん



顔が少々ひきつり始めていたころでした。慎一が急に真面目な表情をしたのです。珍しい光景なので一体どういうことなのかわからず、つい慎一を見いっていました。すると、慎一は徐に口を開いたのです。



「今、久水先生の魂がそこらへんを彷徨って入れる器を探している。気をつけろよ。」



私は、慎一が一体何を言っているのかが理解できなかった。小首を傾げ分からないと言う具合に意思表示を示すと、



「まぁ、にのは知らなくてまあ、しかたないんじゃないか。そこの用心棒が何とかすればさ。」



そう言って、慎一は神名くんを指差した。すると、神名くんは小さく溜息をついて、「わかっているよ。」と半分呆れ気味に返事をしたのです。この会話はきっと、神名くんと慎一の話なのでしょう。何故に私にこの話を持ち寄ったのでしょうか。全然、理解が追い付きません。



「まあ、にのが一番危ないんだからな。俺らは回収するだけだけどさ。」



慎一はそう言うと私の頭を二、三度たたき安心させてくれたのでした。あまり、その話に理解をしていない私ですが、気をつけなければならないようで。コクリと首を縦に振って頷くと、慎一は口許を緩め私から離れて行ったのです。一体どういうことでしょうと、首をかしげても一体全体話の趣旨自体がつかめていないのですから、それを理解しようだなんて至難の業なのでしょう。



とりあえず、二人残った私と神名くんはお互いの顔を確かめるように見合わせることしか出来なかったのでした。





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