神名くん



神名くんの書斎に来ると、神名くんは隅に置いてある椅子を自分のデスクの前に置いて、座るように促すのです。この椅子はいつも、私が神名くんの部屋にある本を読みに来るころから置いてあって、私が使っていたのでいつの間にか私専用となっている椅子なのですが、今回は少々座るのをためらってしまったのです。ですが、神名くんの優しい笑顔と、エアコンが付いているのでしょう温かい部屋に促されたかのように私はゆっくりと椅子に座ったのです。



そして、神名くんは、相変わらず余裕そうな表情をか持ち出しながら自らのデスクによりかかっているのです。私は、ただ神名くんを見つめていました。以外に彼と近い位置に少しどぎまぎしていたのですが。



「本当に、君はドジだね。」



最初に言われたこの発言でそれが消えうせたのです。正直に殺気を一瞬覚えたのです。



「昼間、気をつけるように慎一がいっていたでしょ。魂を受け取る器は正直に魂を一つしか受け取れないの。それなのに、君の中には二つの魂がある。一個は君と、もう一個は久水先生のかな。そして、早めに君から久水先生の魂を回収しなければ君も久水先生の魂も消失する。」

「た、確かにそうなのですが、ほっとけなかったというか。その、先生って分かったらつい。」

「ついで、受け入れるような魂(モノ)ではないんだよ。君の体は確かに2つ受け入れることができるけど、それは数時間だけなんだ。あまりいすぎると危険だよ。正直に、僕は君にそんな無茶はしたくないんだ。」



そう言って、神名くんは私の髪の毛を一房掬うとどこか慈しむようにそれを撫でるのです。いつもの神名くんではないと正直に思いました。どこか、妖艶で男の人なのだと思ってしまう。そんな雰囲気をか持ち出しているのです。私は、どうしたらいいのか分からず俯き瞼を閉じたのでした。





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