神名くん
私は、一度そこで区切りました。少々矢継ぎ早に言葉を述べすぎてしまい、喉が渇くためです。魂の姿であるにしても、そうなるのだと思いながら、私は一度唾液を呑み込んで喉を潤すと先生を再び伺ったのです。本当は、喉が渇いたというのは偽りなのかもしれません。ただ、人生で言う先輩の先生にこんな小生意気な小娘が、分かったような口を言ってしまっているということに対しての緊張で、喉が渇いたという錯覚が起きているのでしょう。
ただ、じっとわたしを見つめ、次の言葉を待ち焦がれている先生を見ると、憐れみに見えて仕様がないのです。私は、まだスタートラインに並んだ者としての見解を走りだし、強制退場させられた彼に謂わないとならないんだと思うと、少々気後れしてならないのです。そっと、彼アから目をそむけるために足元を見ながら、口を開く。その時にふと、神名くんを思い出しました。何故、神名くんが思い浮かんだのかは分からないのですが、私めには十分勇気を与える存在となったのですから、いささか、現金だなと思ったりしました。
「私は、まだその答えに終止符を打つつもりなどは毛頭ありません。そして、この答えが生きている間に見つかるなど全く信じてもいません。ですが、死んでも次また捜せばいいのだと考えたいのです。先生。今回の生は終わってしまったのです。もう、次に進みませんか。今もまだ、その姿であがき続けてもただ苦しいだけなのですよ。」
眉を下げ、今にも泣き出してしまいそうな先生を真正面から受け止めながら、私は先生にはこれ以上何もいうつもりはありませんでした。先生もそれに気がついておられるのでしょう。彼もただ、私めを見つめ喋る気がないというのをどことなく捉えていました。