神名くん
□夏


あれは、いつ頃だったかとか、殆ど覚えていません。ですが、神名くんがお隣に引越しした後でしたから、間違いなく小学三年生以降の夏休みでしょう。そして、これは伊香花祭りの行なわれる日でした。


私は、慎一と言う幼馴染み以外の友人は全ていなくなってしまった後でもありました。どしていなくなったかくらいは当時の私でも、理解していました。


勿論その日は女の子も、男の子もお祭りの話しで大盛り上がりでした。屋台で何を食べようかなんて話をしていたくらい。でしたから、私は勿論蚊帳の外で…。


本を読みながら知らない振り、興味がない振りをしていたのでした。


勿論、幼馴染みの慎一がそんな私に気がつかない訳もありません。基本は、バカでも昔から洞察力は高い幼馴染みでしたから。そのため、放課後そんな私を気にかけてでしょう。自分は既に他の友人と約束しているのにもかかわらず私を誘ったのです。



ですが、大切な幼馴染みの友人関係を壊したくない私は、その御誘いを断わる事にしたのです。


その代わりと言っては何ですが、私は厚かましくも神名くんに一緒に行こうと頼んだのです。






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