神名くん



家にいつも通りに押し掛けた私は、神名くんを見た途端に口を開いたのです。


「神名くん。一緒に伊香花祭に行きませんか。」


私がそう言うと、神名くんは少しばかりまゆをひそめたのです。ですが、それも一瞬で何時もの、あの柔らかい笑みに変わると、


「嫌だ。」


と意地悪く述べたのです。勿論私めは二言目にはOKが出ると思っていたのでショックはとても大きく泣き出しそうになったのです。


そんな、私をいじらしく見た後に、神名くんはクスリと笑って見せたのです。そして、


「冗談だ。行くか。そのお祭り。浴衣着て行くんだろ?今から支度してきておいで、僕も着替えるから。」


と、そう言ったので、更に私は大泣きしたのです。意地悪とおおきく叫びながら泣いたのです。そんな、私めの頭を丁寧に割れものを扱うように撫でると、私はあっという間に泣き止んだのでした。



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