神名くん
ファイルⅠ
大欠伸を繰り広げながら私は外を一瞥して、伏せた。退屈に巡るこの心情は何なのでしょう。わからない。わかるのはこの授業は私目には理解出来無いという事で、その結果齎(もたら)すのは、限りない暇な時間と言うものでした。
空は真っ青なのですが、それに相反する真っ白な雲が大きく立ち込めていると言う状況。外では、蝉が蛙に代わって大合唱をしている時期になっていました。気がついたら着ているものもスカートの微々たる布の薄さも変化し、この季節では快適に暮らせる衣服へと変更されていました。
それは、流れに流れて泳ぐ魚のように、時間に流されて向かう私たちで、それは逆らうつもりは毛頭なければ、逆らうことが出来無いものでした。
数学の板書を写してはいるのですが、どうしても頭に入ることはなく、私にはただの数字と式が意味のなさないものへとなっていた。
あふ、ともう一回先生に隠れて欠伸をすると、私はもう再度外を眺めてこの時間は逃げることにしたのでした。