神名くん



ある程度、この空間が異次元から三次元だと理解してきた頃でした。覚束ない足元のくせしてのらりくらりと紅茶を運んでくる彼の姿が見えました。



彼は、ゆっくりと私のまえで紅茶を容れ置くと私の隣に座るのです。彼は私との隙間を好まないかのようにピッタリと引っ付いたのです。そっと、体を寄せてくれる始末。あまつさえ、頬同士を一度くっつけました。



私は綺麗な顔が横にある、というあまりにも落ち着かない状況を催されてしまい。ただ体が固まるばかりでした。緊張…、というといいのでしょう。まさしく緊張していました。何たって彼は、私の肩を優しく抱いているのですから。



先程、抑え込んだ原因不明の恐怖が抑え込んだだけでなく消沈していくのが何故だかわかってしまうのです。彼の腕の中は意外にも落ち着いてしまう。それは、本当に温かくずっとこの腕の中にいたいと請願してしまいたくなる程なのです。



ですが、小学3年生と言っても私めも女子です。恥ずかしくないという訳があるわけないじゃないですか。そっと離れたいと対抗すると、彼はあっさりと離れてくれました。



私は注がれた紅茶に砂糖を入れると、左手にはソーサー、右手にはカップを持つ。彼が抱きしめ無いように対策を短時間でした結果だった。仕方がないのです。彼はあまりにもフレンドリーなのですから。



けれどもそんな彼は、私の対策を短時間で理解したのでしょう、くすりと笑うと私の頭をひと撫でしたのですから、本当に質の悪い人です。





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