聖なる夜の贈り物
男の子の家に、赤い服を着た白い髭のサンタクロースが訪ねてきたのです。

『メリークリスマス!君が欲しい物は何かな?』サンタクロースは白い袋を弄りはじめました。

夢の中では不思議でも何でもありません。

男の子にとっては、サンタクロースの存在があたりまえのことのように感じられました。

だから驚きもしませんでした。



『僕・・・何もいらないの。欲しい物なんてないの。』

サンタクロースは不思議な顔をしました。

『はて・・・どうしてかな?善い子には必ずプレゼントをあげるのに、欲しい物がないとは。』

『僕はいい子じゃないんだ。本や大切な聖書も燃やしてしまったの。

それなのにお父さんとお母さんの病気がはやく治るように神さまにお願いしたの。

だから僕はいい子なんかじゃないの』

サンタクロースはにっこり笑って袋から小さな橇を出して放り投げました。

その瞬間!それは大きな橇になり、八頭のトナカイたちになりました。

トナカイが動くたびに首輪についているベルの綺麗な音色が聞こえてきます。

『行こう!さぁ!乗って!』

サンタクロースは男の子を橇に乗せると、力一杯手綱を振り上げました。

トナカイたちは、それを合図に走りだして 空高く高く上昇しはじめたのです。

『どこへ行くの?』

サンタクロースはにっこり笑うとウィンクしました。

その顔は、お父さんのようでもあり、お爺さんのようにも見えました。

厚い雲を抜けると、キラキラ星が輝いて晴れていた。遠くに眩いばかりの街が見えます。

その美しい街は少しずつ近くに見えてきました。
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