聖なる夜の贈り物
いつのまにか男の子は、満天の星の下に眩いクリスマスイルミネーションのある

一軒の家の前に立っていました。

しばらくすると、その家から人が二人出てきました。二人は両手を広げて男の子に近づいてきます。

それは亡くなったお爺さんとお婆さんでした。

夢の中の男の子は二人が亡くなったことのほうが不思議なくらいの感覚で再会したのです。

『元気だったかい?大変だったね。よく頑張ったね』

男の子はお爺さんとお婆さんに抱きついておもいっきり泣いてしまいました。

『僕・・・僕ね、お爺ちゃんとお婆ちゃんからもらった本を燃やしてしまったの

ごめんなさい。本当にごめんなさい』

『いいんだよ。大切にしてくれていたのだから。さぁ!中へお入り・・・』

男の子が家の中へ入っていくと中は自分の家でした。

とても暖かくて テーブルにはケーキとご馳走があります。とてもいいにおい!

そして窓際には大きなクリスマスツリーが飾られていました。

男の子が振り返ると、二人ともほほ笑んでいました。

まるであのときの楽しかったクリスマスの日のようです。

テーブルの上には、ご馳走の他に金色の錠剤の入った瓶がありました。

『さぁ!はやくそれをお父さんとお母さんに飲ませておやり』

部屋の奥のベットには、お父さんとお母さんが寝ています。

男の子が錠剤を飲ませてあげるとどうでしょう!嘘のように二人とも元気になりました。

そしてむかしのようにテーブルを囲んで聖歌を歌いました。

お爺さんからは燃やしてしまった絵本を・・・お婆さんからも。

お父さんとお母さんからも、燃やしてしまった本を頂きました。

まるで思い出がひとつひとつ返ってきたように嬉しくなりました。

おいしいケーキと笑い声・・・・楽しい楽しいクリスマス――――
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