聖なる夜の贈り物
目を覚ますと朝でした。

暖炉の火は燃え 部屋の中は充分暖かく おいしそうなシチューのにおいもします。

横をむいてベットを見るとお父さんもお母さんも静かに眠っていました。

!?

台所では確かに人の気配がします。

『気が付いたかい?大変だったね』

それは、村長さんと隣のおばさんでした。

『昨夜、この家の煙突から煙がでていなかったから、心配になってね。大雪で寒かったし

見に来たんだよ。あんのじょう燃やせる薪がなかったから村長さんと村の皆に手伝ってもらって

薪を集めて持ってきたのさ』

『はやく気付いてくれてよかったよ。ご両親とも病気で倒れたことを知らなくて悪かった。ゴメンよ』     .

村長は大きな手で、男の子の頭をやさしく撫でました。

午後になると村の人たちが来て薪を割ってくれたり、パンを焼いて持ってきてくれたりしました。

なんてありがたいのでしょう!!

男の子は嬉しい気持ちでいっぱいです。

そして何よりも嬉しかったのは、お父さんとお母さんが元気になったことでした。

天国のお爺さんとお婆さんに、そして神さまに感謝しました。

男の子は数々の思い出の本を失ったけれども、今は悲しくはありません。

失ったものよりも頂いたもののほうが多かったからです。

確かに本棚は空っぽになってしまったけれど、ベットの下に 燃やしてしまったと思っていた本が

4冊だけ残っていることに まもなく気づくことでしょう。

それは、夢の中でお爺さんやお婆さん、両親から頂いたプレゼントと同じ本でした。

そして、もう一冊 本棚には、真新しい聖書もありました。

その夜、男の子は天国でお爺さんとお婆さんが元気で暮らしていることや、

皆でクリスマスを祝ったことをお父さんとお母さんに話してきかせました。

『パパとママの病気も、お爺ちゃんとお婆ちゃんが治してくれたんだよ』

男の子の家から久しぶりに笑い声が聞こえてきました。

その窓から漏れる明かりを見て幸せそうに微笑むと、その人は力一杯手綱を振り上げて

空高く高く飛んで 星空の彼方に消えていきました。




                 おわり





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