タイトル未定
第一章
ひとり
「っぐす……」
涙を路上で流す少女。
周りから見ればどう見えるのかな。
今までも、嫌で嫌で仕方なくて、
家出しても次の日に帰ってくるのが
あたしの癖だった。
一人で生きるのは無理。
それをちゃんと知っている。
ろくにお金もなければ、
信用できる友達ですらいない。
でも、今日は違う。
絶対に帰らない、いや、帰りたくない。
あたしはさっきまで、お父さんに抱かれていた。
あたしの意思を無視して。
あいつの欲を満たすだけの道具にされた。
愛なんてないのに
『愛してるよ――』
そんなの、嘘じゃない。
「も、やだ……」
ペタン、と座り込む。
どうしよう、妊娠してたら。
あいつの子なんていらないのに。