【短編】そばにいるよ。
 
「じゃあ、言う。ナオは気づいていないと思うけど、たぶん新カノさんは、ケーキをあたしに作ってもらうことが嫌なんだと思う。喜んでいたように見えたのは、ナオに嫌われたくないとか、ナオに合わせたとかだよ、きっと」

「……そう、なの?」

「うん、たぶん。女の子はね、自慢の彼氏の幼なじみが自分と同じ女ってだけで、いろいろと不安になったりするものなの。例えば、本当は自分じゃなくて幼なじみの子のほうが好きなんじゃないか、とか、どうして最後は自分じゃなくて幼なじみを頼るの、とか」

「面倒くせー……」

「そう!面倒くさいの!それが嫌なら、ほいほい彼女なんか作るんじゃないわよ!」


恋愛経験値ゼロのあたしでさえ、こんなにも恋する女の子の気持ちを察せられるというのに、両手の指では足りないくらいの女の子とつき合っていながら、どうしてナオには、そこのところが全然分かっていないのだろうか。

極めつけは、何気なく言ったであろう、ナオの「面倒くさい」という一言だ。

この一言には、なんだかんだと文句を言いながらも、最終的にはナオに味方をしてきたあたしでさえも、さすがに堪忍袋の緒が切れた。

なにが大恋愛だ、恋愛を語るな。
 
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