【短編】そばにいるよ。
「部長にちょっと相談してみるね。すぐに戻ってくるから、ここで待っててもらえるかな」
「あ、うん……」
「すぐだからっ!」
不安そうに瞳を揺らす彼女にそう言うと、あたしは莉乃たちのクラスへ走っていった。
クラスに着くと、額を突き合わせるようにし、まだしっくりくる分量を模索中の、例の生クリームケーキの分量について話し込んでいる2人に、さっそく今の話を伝える。
「どうする? 莉乃」
「そうだねぇ……。設備も調理器具も、部員だってフル回転だし、当日に一緒に作るのは、けっこう難しいものがあるかもしんない」
「……だよね」
穂乃花と莉乃の、予想していた通りの反応に、2人と一緒に、うーんと首をひねる。
ナオの要求もそれで断ったのだ、彼女がある程度自分で作れるのなら、設備も調理器具も揃っていることだし、家庭科室で一緒にケーキを作ることも可能なのだけれど……って、あ!
そうだよ、そうそう、その手があった。
「それなら、今日から部活に来てもらって、ある程度作り方を覚えてもらう、っていうのはどうだろう? だったら一緒にできるよね!」
「おお!ナイス、カナ!」
「うん、いいかも」