【短編】そばにいるよ。
グリコちゃん的には、うまく絞れない、とのことだったけれど、あたしの目から見たら、全然そんなことはなく、ケーキを作るのは初めてだとは思えないくらい、とても上手だ。
これもひとえに、ナオへの愛情、というところなのだろう、ホイップクリームも顔のあちこちにつけ、一心不乱にケーキと格闘しているグリコちゃんは、やはり超絶可愛かった。
「完成だね!おめでとー!」
「ありがとう!カナちゃんのおかげだよー!」
「いやいやー」
それから少しして完成したケーキは、直径が約12センチほどの4号サイズの、グリコちゃんと同じく、とても可愛らしいものだった。
ベリー系のフルーツをふんだんに散りばめ、スライスアーモンドを上から振りかけて、上手に塗れなかったホイップクリームのでこぼこをカバーした、とのことで、見た目がとても華やかで、ベリーとアーモンドの香りが、思わずつまみ食いをしてしまいたくなるほどいい。
一緒にケーキを作ったということで、連帯感や一体感も生まれ、今日知り合ったばかりだけれど、ずっと友だちだったような気さえする。
嬉しそうに携帯で写真を撮るグリコちゃんの横顔を見て、あたしはそう思った。