【短編】そばにいるよ。
どういうことかと詳しく話を聞くと、あたしが莉乃と穂乃花へグリコちゃんの相談をして戻っていったあと、ナオが教室に帰ってきて、友だちと話している中、「なんか違うんだよなー」と言っていた、とのことだった。
もっと詳しく聞いてみると、グリコちゃんが一生懸命ケーキを作ってくれようとしているのは嬉しいけれど、思ったより楽しみじゃない、というようなことを漏らしていたらしい。
なんなんだ、ナオのやつ……。
“なんか違う”って、ナオが言ってもいい台詞じゃないよ、何を考えているのよ、大バカめっ。
「ほら、ナオ君って、照れ屋だから。友だちにからかわれて、そう言っちゃったんだって」
「うんうん、そういえば、そんな感じだった。ごめん、カナ。早とちりなことを言って……」
ふつふつと怒りを沸き上がらせていると、そこへ穂乃花も加わり、2人はなんとか、フォローに次ぐフォローであたしの気持ちを静めようとしてくれている様子がうかがい知れた。
けれどあたしは、グリコちゃんのことを思うとなかなか気持ちを落ち着けられず、どんな制裁を与えてやろうか……と、そればかりだ。
ナオはふざけている。
もしもグリコちゃんを泣かすようなことになったら、絶対にあたしが許さん……っ!!