【短編】そばにいるよ。
 
ほんと、どうしてこう、子どもっぽいことしか言えない男に告白する子が絶えないのだろう。

顔のよさだけは、悔しいながらもあたしも認めているけれど、中身はただのバカなのに。


「うへへ、バカナが怒ったー!」

「静まれっ!チャランポラン……っ!!」

「ま、もしも好きな男ができて、フラれるようなことがあったら、俺が慰めてやるから。心配しないでフラれるんだぞー」

「余計なお世話よ!」


ただの決まりきった台詞を言っただけなのに本当に元気が出たらしいナオは、一通りあたしをやじると、足取り軽く帰っていく。

女の子たちには、顔と中身が全然釣り合っていないから見た目に騙されないで、と、教えてあげたいし、ナオには、顔と中身が釣り合っていないからすぐにフラれるのよ、と、ぜひぜひ教えてあげたい、今日この頃のあたしだった。

……ていうか、フラれる前提なのね、あたし。

なんて失礼な。


「おかえり。中まで聞こえたよー、さっきのカナの、チャランポラン!っていうの。なんていうか……相変わらずみたいだね、ナオ君」

「ほんっと、疲れる……っ!」

「あは。お疲れさま。これ、カナのぶんね」

「うん、ありがとう、穂乃花」
 
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