【短編】そばにいるよ。
「分かった、帰ろう。ごめんね、2人とも。できるだけ公園で時間潰して、なるだけナオに会わないように帰ってみる」
「カナ、あたし、つき合おうか?」
「ううん、だいじょぶ!」
穂乃花が気を使って、つき合うと言ってくれたけれど、もうかなり理不尽につき合わせているため、心細さは否めないものの、首を振る。
そんなあたしたちを見て、莉乃は「穂乃花はカナに甘いのよ」なんて言うけれど、誤解のないように言っておくと、莉乃はけして、性格がキツいとか、言い方がキツいわけではない。
部長、という立場上、そうでなければならないだけであって、ほかには何もない。
莉乃が職員室に家庭科室の鍵を返しに行くのを待って、3人で一緒に外に出る。
すると、ホワイトクリスマスにふさわしく、空からは雪が降ってきていて、校庭や道路にも、うっすらと雪が降り積もっていた。
「雪、かぁ。これじゃあダメね。諦めて家に帰ったほうがいいよ。カナが風邪ひいちゃう」
「あたしもそう思う」
「……あたしもそう思ったところ」
3人で顔を見合わせ、頷きあう。
あたしの家の近くには、小さい頃、よくナオと遊んだ公園があって、そこで肉まんやホットドリンクで暖を取りながら時間が過ぎるのを待つつもりでいたのだけれど、これでは無理だ。