【短編】そばにいるよ。
 
あたしたちが住むここの地域は、全国に比べてかなり寒い、というわけでは、もちろんない。

それでも、寒いものは寒く、いくら暖を取るアイテムを用意したところで効果はそう長くは続かず、また、いつ会うとも分からないナオを避けるために公園で待機する、というのは、いささか自殺行為なような気もしてくる。

第一、莉乃も言っていたけれど、ナオがあたしを好きだ、と感じているのはグリコちゃんで、ナオ本人は全然そんな気はないのかもしれないし、大事な予定がある、とグリコちゃんとの約束をドタキャンしたのだって、のっぴきならない事情ができたため、だったのかもしれない。

ナオには好きな子がいて、それはあたしだ、というグリコちゃんの推測が当たる確率は、申し訳ないのだけれど、かなり低いと思う。


「じゃあ、あたしこっちだから。バイバイ」

「バイバーイ」


校門を出てすぐの曲がり角に着くと、あたしは左に折れ、2人とはそこでバイバイした。

ここまでのわずかな間に、どうやら雪は本降りの兆しが強まってきているようで、あと5分でも遅かったら、2人を雪だるま状態にさせてしまうところだったし、こんな中で時間を潰すのは、とても無理だった、と改めて実感する。
 
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