【短編】そばにいるよ。
グリコちゃんと同じく、若干、食べ飽きた感も否めないのだけれど、それでも家族と、それと甘い物好きの幼なじみと食べると、また違う。
家庭科部の部員特典として、各自で持ち帰るケーキには、オリジナルのデコレーションをしてもいいことになっていて、あたしは、豪華にしようかとも考えたのだけれど、シンプルに苺と砂糖菓子を飾るだけに留めたのだ。
とにもかくにも、3人とも美味しくてなによりでした、ということで、あたしも嬉しく、また主にナオが食べたことによって、みるみる小さくなっていったケーキは、30分と経たないうちに、残すところ、あと一切れ、となる。
「はー、ちょい休憩。休んだらまた食うわ」
「ちょっと、まだ食べる気なわけ!?」
「悪いかよ」
「いや、呆れた。食い意地太郎すぎる」
するとナオは、フォークをお皿に戻し、だいぶ膨らんだお腹をさすりながら、それでも休んでからまた食べる、と言い出したから、あたしはほとほと呆れ、ため息さえ出てこなかった。
あんなに食べてもまた食べる、って、一体、ナオはどれだけ甘いもの好きだというのだろう。
ケーキは、美味しいけれどお腹にたまる。
呆れたのを通り越して、ナオの甘いものに対する執着に、逆に感心してしまったあたしだ。