【短編】そばにいるよ。
しかも、レシートのような紙は本当にレシートで、裏に『やる!』とだけ書いてある字も、雪が解けて水滴になったせいでインクがにじみ、なんだか、おどろおどろしくなっている。
軽くホラーだ。
「……ぷっ」
けれど、笑ってしまうのはどうしてだろう。
コンビニの袋に見えたのは、どうやらドラッグストアの袋のようなのだけれど、それにしても泥にまみれているし、メッセージとも言い難い『やる!』はレシートの裏だし、見るからに、とんだプレゼントなのに。
ああ、でも、ナオらしいかも、なんて思う。
幼なじみも17年目となれば、面と向かって何かをプレゼントするのは、こっぱずかしい。
そして、演出もクソもない。
「ああもう。こんなにたくさん、何年かかったら使い切れるんだろう……。ほんっとバカよね、ナオは。限度ってものがないのよ、限度が」
なんて文句を言いながら、それでもドラッグストアの袋を鞄の中にしまい、レシートは、ふたつに折って財布の中にそっと忍ばせる。
内心、ちょっと嬉しいのだ。
それはさておき、大量のハンドクリームの贈り主はただのナオだった、と分かったことだし、いい加減、いつまでも玄関先に留まっていないで、コロンにご飯をあげに行かなくては。
あれ、でも……。