素直に言えよ
「でもさ?渡辺さん、どこかわかるの?」
「分かるよ。ちゃんと誘導しておいたから」
これを言った女がニヤッと笑ったことが壁越しでも分かる。
...早く言えよ、唯華の居場所!!
そう思ったけどその女達が更衣室から出てくる気配がした。
とっさにその場から離れる。
...早く探しに行かねえと。
いつの間にか俺は走り出していた。
「ハァ...ハァ...」
...どこにいるんだよ、唯華。
校舎内を走り回ったけど唯華は見つからない。
これはがむしゃらに走り回るより聞いた方が早い?
そう思って近くにいた男子に声をかけた。
「ちょっと聞きたいんですけど...
唯華...じゃなくて、猫耳ついたメイド見ませんでしたか?」
お願い、知ってくれ。
でもまあそんなお願いが叶うこともなく...
「知らないですね」
あっさり返答されてしまった。