素直に言えよ




もしかして...下に唯華が!?


急いで看板の下へ向かう。




...やっぱり。


人混みをかき分けていくと看板の下には唯華がいた。


俺は上を見上げる。


それと同時に...看板がフェンスから離れた。


すごい速度で落ちているはずなのにスロー再生されているように思える。


「危ない!!」


無意識のうちに動き出す体。


「きゃっ...」


俺は唯華を抱き寄せて地面に倒れ込んだ。


唯華の持っていたチラシが宙を舞う。


───ガンッ


俺の頭に衝撃を感じたのと誰かが悲鳴をあげたのが同時だった。


真っ暗になる視界。


唯華が俺を呼ぶ声がだんだん小さくなる。


ダサいな、俺。


俺は額から何かがつたうのを感じながら意識を失った。



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