素直に言えよ



「あ、えっと...」


「ちょっとコイツ借りるわ」


渡部唯華が何か言いかけてるのを遮り、手をとり連れ出した。


「えっ?ちょっ」


そのまま人があまりいない階段沿いへ行く。




「これ」


と、ケータイを差し出す。


「あ!ありがとうごさいます」


そう言いながら手を伸ばす渡部唯華。


その手を掴み抱き寄せた。


「きゃあ!!」


俺、なにしてんだろ。


今日の俺なんかおかしい。


コイツと会ってからだよな。


コイツの事かわいいって思ったり...


今なんて、抱き寄せてるし。


心臓、ドキドキうるさいし。


これって...コイツに恋したってことなのか?


こんな気持ちが初めてな俺にはまだ分からなかった。


この気持ちがなんなのか────。



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