恋心は「紫色」
男の低い悲鳴が響く。

「涙と血……。混ざれば紫になる。」

『…綺麗…ね。』

「あぁ。…もっと、もっと
 泣き喚けばいい。」

いつからだろう?
こんなに「紫」を好きになったのは…

『……声優と言う夢。』

『「あたし(俺)達が…刻んだ。」』

これがあたし達の決め台詞。

「……ッ!……ッッ!!!!」

何かを訴えようとしている男。
でも、残念…。
声。あたし達が奪っちゃったから…。

「人の夢は儚い。漢字通りの
 言葉だな…。フッ。まさに
 このことだろう。」

『………。』

あたし達は喋れない男を置いて
背を向けた。

が。

ガシッ

『!!?』

同時にあたしの脚を捕まれた。

『…しつこい。』

あたしは男の頭に手を乗っけて、

『夢なき少年…。』

「………フッ。」

『消え失せろ…!』

あたしがそう言うと
男はサラサラと灰になっていった。

「お気の毒だな?」

クックッ…と口に手を当てて
笑いを堪えてる鎖。

『しつこいのは勘弁。』

「そろそろ帰るぞ。」

『うん。』

あたし達は自分の家へと
向かって歩き始めた。
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