スクランブル・ジャックin渋谷
モニタービルA

◎「宏さん、引きこもりを克服しました。今、自転車で北海道を走っています」

◎「宏さんへ。リストカットは、もうしません。私より、不幸な人が大勢いることを悟りました」

◎「平和な日本に暮らしていて、夢も希望もないなんて贅沢(ぜいたく)でした。宏さんに勧められて、アフリカに行って子供たちを救います」

◎「宏さんの、真摯(しんし)な熱意に負けました。家族のために刑期を終えます」
交差点

 博恵、宏とチークダンスを踊りながら、そのモニターを見ている。全て宏に関する出来事であり、感謝の気持ちを表していた。

 宏の警察官としての誠実な仕事ぶりを、改めて惚れ直した。

宏の人柄に対して、思わず涙ぐむ。むしろ博恵自身が、本当の宏の姿を理解していなかったことを恥じていた。

 それは、背を向けた宏には一切目に触れることはなかった。宏は、その伝言板のことは、何も報告を受けていない。何一つ、知ることはなかった。

先輩「おい、何だ、あの伝言板は…」

巡査C「宏ばっかりじゃないか。俺たちには、お礼はなしかよ」

先輩「宏、お前はクビだー」
    ○    ○
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