スクランブル・ジャックin渋谷

第八章 マリッジジャック

交差点

タキシードを着た男性たち、ウェディングドレスを着た女性たちが、交差点内に集まった。

メンデルスゾーンの結婚行進曲が流れる。
ミュージックGが、流れる。

男性49人、女性50人。「マリッジ(結婚)・ジャック」だ。

タキシードを着た宏と、ウェディングドレスを着た博恵が、肩を並べて立っている。

その博恵は実体ではなく、CGで作られた虚像、つまり宏の博恵に対する結婚願望、妄想の産物だった。

102人、51組の婚約者たちが集結し、ソーシャル(社交)ダンスを踊り始め出した。

結婚行進曲のミュージックG、終了。

緊張している宏。勇気を振り絞って、博恵に告白しようとしている。博恵の目を、じっと真面目に見つめている。

宏「ひ、博恵さん。ぼ、僕と、け、結婚して、下さい…」

博恵「ハイ」
博恵は、笑顔で快くそう答えた。

軽快な社交ダンスの音楽が、流れる。ミュージックHが、始まる。

宏と、CGの博恵が、手を握り合って社交ダンスを踊る。

博恵のダンスは上手だが、宏は全然絵になっていない。リズムが外れている。足の動きが合わない。

全員、愛するもの同士が、微笑ましく社交ダンスを踊っている。
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