スクランブル・ジャックin渋谷
入れ替わって、民俗衣装を着た道代が、慌てて入ってきた。

見た目は今時のギャルだけれども、これでも、東京大学物理学部の在校生だ。将来は、宇宙飛行士を目指すらしい。科学者の卵だ。

道代「博恵、交差点が 変っ?」 
博恵「変って、何が?」

道代「良く分かんないけれど、あそこに入ると、みんな踊りだしちゃうみたい」

 博恵は、「踊り」と言う言葉に素早く反応した。ダンシング・スイッチが、危うく入りかけた。

博恵「何かのイベントじゃないの?」

博恵と道代は、会話をしながら、ピエールが座ったテーブルにある食器類を片付けている。

道代「そんな話きいてないわよ。ねえ、行ってみない? どうせ、お店も暇なことだし…」

しばらく考え込む、博恵。道代の顔色を、さりげなく見つめる。

両目のまぶたを何度も、パチクリ・パチクリさせる、道代。

博恵「マスター。チョット、休憩しまーす!」

その衣装を着たまま、2人とも楽しそうにドアを開けて出て行く。
    ○    ○

廊下
エレベーターが2基ある。エレベーターの到着を待つ、博恵と道よ。エレベーターが到着し、ドアが開いた。

中に入る2人。閉まる瞬間、外から手が入った。

白い調理服を着たインド人男性5人が、ゾロゾロと入ってきた。ヒゲをはやしたマスターもいる。

博恵「(驚く)マスターっ!」
ニコッと会釈する、マスター。

 呆れ返る博恵と道代。
エレベーターのドアが、閉まる。

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