スクランブル・ジャックin渋谷
○中立的なのは、日本人である道代だけだ。他国人の脅威にも屈せずして、笑顔を振りまいて踊っている。
    ○    ○

歩道上の大勢の観衆たちが、心配そうに見守っている。

 交差点内で踊っている、総勢160人以上がギクシャクした中で、顔をこわばらせながら踊っている。全然、楽しくない。

観衆たちも見ていて、不愉快な気持ちになる。

 道代が、踊りながら交差点の中央にやってきた。道代が中心になって、160人の異国人を取りまとめようとしているようだ。

 道代をリーダーにして、グループごとに整列し、約160人は踊りに秩序を取り戻し始めた。

約160人全員が、同じ動作、同じ踊りを観衆たちに披露している。笑顔で楽しく、ダイナミックに踊っている。

○たくましく踊っている、マスター。自分の華麗なる踊りを、パキスタン人のリーダーに見せびらかせている。

 リーダーも負けじと、豪快で繊細な踊りを見せつける。

○イスラエル人・キリスト教徒・イスラム教徒たちが踊っている。

○グループ同士で整列したものの、踊っているうちに、その踊りの範囲が狭まってきた。隣人の肩に触れるほど、狭い範囲で踊っている。

踊っている、韓国人と北朝鮮人の手と手が、ぶつかった。

○踊っているマスターが、リーダーの肩に触れた。踊っているリーダーは、少しよろけてしまった。チョット、怒りに触れた。

 リーダー、踊りながら、ワザとマスターの肩にぶつかって行った。
 リーダーを睨み付ける、マスター。目と目で、火花が散った。

 マスターは、リーダーにぶつかって行った。とうとう、ケンカが始まってしまった。恐れていたことが、ついに起きた。

 確かにケンカではあるが、実質的には、踊りを取り入れたケンカであった。「踊り」という破壊兵器で、2人は戦争を始めた。

 インド人A、パキスタン人Bに、回し蹴りをする。後ろに倒れるパキスタン人B。
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