スクランブル・ジャックin渋谷
ハチ公前広場
 大勢の観衆が、異国人たちの楽しそうなフォークダンスを眺めている。

 敵国同士、にこやかに手を取り合い、交差点内を、円陣を組んでフォークダンスを踊っている異国人たち。

 道代とインド人Aが、一緒に踊っている。

派出所内
 博恵は、ドア越しに立って、異国人たちのフォークダンスを眺めている。

自分も踊りたくて、ウズウズしている。まだ、インドの民俗衣装を着ている。

 イスに腰掛けて、携帯電話で文字を打っている宏。左目に青いアザが残っている。組長に殴られた痕だ。

博恵「宏―。何でみんな、交差点に入ると踊り狂っちゃうの?」

宏「数時間前に、この交差点に彗星が落下してさ…」

 博恵は、分けの分からない宏の言葉に絶句する。

宏「その彗星によって、交差点内に異常な電磁波が飛び交って、脳細胞や運動神経に影響を与えているみたい。電話も全然、つながらないんだから」

 そう言いながら、宏は携帯電話で文字を打っている。打つことは、可能なようだ。いや、宏だけは特別に送受信できるのだ。

博恵「何、バカなことを言っているのよー」

宏「(ぼやく)ウソは言ってない。信じてくれよー」
< 67 / 108 >

この作品をシェア

pagetop