スクランブル・ジャックin渋谷
交差点
 多少疲れも見えるが、全員が笑顔で楽しく踊っている。

 ヒザを上げ、走るようなカッコで踊る、女性たち。
 右足を高く上げて、右手でその足首をつかむ女性L。

 両手を挙げて、ヒラヒラと手首を回している女性N。
 左腕をグルグル回している、リーダー。

 踊る女性たちの交差点の路面下から、にじみ出るように、ダイヤモンドダスト(細氷)かまたは結晶のような、白く光る物質があふれ出てくる。

キラキラと輝いている。

 お立ち台のリーダーの足元からも、白く光る微粒子物質があふれ出て来た。リーダーの足首の高さまで、包み込んだ。

 路面で踊っている女性たちの足元が、キラキラと白く光り輝く微粒子物質で包み込まれた。

 踊っている女性Mの足首が、包み込まれた。

 全員の足首が、包み込まれた。ダンサーたちは、その現状に全く気付いていない。見えていないようだ。

 白く光る微粒子物質は、交差点全体にまで広がった。それは、まるでドライアイスのような煙のごとく、渋谷の街を覆いつくそうとしている。
    ○    ○

 各通りの歩道上で群がっている観衆たちも、全然気付いていない。

 そんな彼らの足首にも、白く光る微粒子物質が一帯を覆いつくし出した。

 観衆たちの膝元まで、白く光る微粒子物質が覆い出した。だんだんと、その物質は高くなり、広まって行く。
    ○    ○
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