スクランブル・ジャックin渋谷

第十四章 彗星のあと

交差点
交差点内を、騒々しく自動車たちが往来している。汚れた排気ガスを、撒き散らしている。

 各通りにいる歩道上の人たちは、信号が青になるのを待っている。

 何もなかったかのように、自然な振る舞いをしている。彗星の存在を、誰も理解していない。

 この中で、大勢の人たちが踊り狂ったことなど、全く認識されていない。何も、起こっていなかったようだ。

 だが、時間だけは確かに過ぎて行った。

ハチ公前広場
 派出所の入り口前。

 光りは消えて、今まで通りの渋谷らしい、大勢の人で満たされている。人の往来が激しい。

 弟彗星は、この渋谷の街から去って行った。
 交差点では、自動車たちが右へ左へと行き来している。

 若者たちで、あふれている。信号待ちをしている。
 ふれあいマップの下で、ホームレス6人が飲んだくれている。

 ハチ公の銅像は、黙って渋谷の街を見守っている。

博恵、嫌がる宏の左手を引っ張って、交差点の手前にまで歩みよる。この2人だけは、まだ記憶が少しだけ残っているようだ。

 宏にかかわったために、博恵はわずかながらも、あいまいな記憶を引き継いでいるらしい。

宏「何で、俺が踊らないといけないんだよー」

博恵「いいから、たまには、あたしに付き合ってよー」

宏「俺は今、勤務中だぞ」

 頬をまた膨らませる博恵。公務執行妨害だ。

道玄坂通り
 信号機が、赤から青に変わる。

 軽四トラックを先頭に、自動車たちが停車する。
 軽四トラックを運転している、青年がいる。
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