スクランブル・ジャックin渋谷
交差点
 狂乱に酔いしれている、群衆たち。頭しか、見えていない。

 老若男女に埋め尽くされ、軽く手足を動かすことしかできない。それでも、「渋谷ブランド」で踊ることができることに満足している。

他の通りでの踊りは、本当の占拠とは言えない。この交差点で踊ることに、意義がある。

 そのど真ん中でチークダンスを踊っているのが、宏と博恵だ。そして、ピエールだ。

 ピエールは、手と足だけでもこの狭い中で、巧みで繊細な技術で軽やかに踊っている。他人には、簡単に真似のできない踊りだ。

 チークダンスを踊っている、宏と博恵。
 宏、左手首の腕時計を見る。時刻を確認する。

 その腕時計には、携帯電話の機能も兼ね備えていた。メールを受信する。ある企業からの受信だ。

 宏、何気なく背中をモニタービルAに向ける。博恵が、そのビルを見ることになる。
 モニタービルAを見ている博恵。

 ピンク・ジャックの歌と踊りが終わった。
 ミュージックO、終了。
   
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