恋日和~記憶を越えて~
「ごめん、急に呼んで」
「いや、大丈夫」
相変わらず、そっけない返事。
「話したいことなんだけど」
「おう」
あたし、言います!
「来年にはあたし、記憶が無くなるらしいの」
「はっ?」
「だから、記憶喪失」
「…あんたが?」
コクリと頷く。
湧は、あたしに一度も見せたことがない涙を見せた。
湧の頬に伝わる一筋の涙。
「なんか、ごめんな…」
湧はそう言って、あたしを抱きしめた。