笑う女神
「野宮もこの高校受けたんだな」
三年のときはクラスが別々になっていたから、お互いの進路なんて全然知らずにいた。
大抵クラスが別になるともう仲が良かった奴でもお互い干渉しなくなるわけだ。
わざわざそいつのクラスに出向いてまで話そうとなんてしない。
そんなことよりも、新しい友達を作ることを優先するんだ。
俺らの友情はそんなもんだったからさ、三年になってからは全く喋らなかったわけ。
だからもう佐々木と会うことは無いんだろうなぁと思って終わってたんだ。
「まさか野宮の頭で受かるとはなぁ」
だけど再会することになるとは。
しかもよりにもよってこれから俺が青春を存分に満喫するであろうこの高校で。
「お前の方が頭わりぃだろ」
と俺は記憶での佐々木を蘇らせ、口を開いた。
「や?俺は三年になってから結構勉強してたから。これでも三年の終わりには学年五位」
と自慢げに話した佐々木は手でVサインを作り、俺にニヤッと笑いかけた。