狼と子羊の物語
「ごめん。部屋に戻る。」
「ゆ、遊紗ちゃん…!」
お母さんが呼んでいる声を無視して
ーガチャンー
さっき来た道をとぼとぼと
歩いて階段を上り部屋に戻ってきた。
なにも考えたくない。
私はベッドに潜り込み目をつぶった。
ートントンー
……,誰………?
「誰…?」
「遊紗様、入ってよろしいですか?」
「………………えぇー…」
ーガチャー
「失礼します」
入ってきたのは十和君じゃなかった
この人みたこと…ー…ある…
確か、私の学校で人気な人ーー…
「白銀 零(しろがねれい)や(ニコ)
同じクラスやからわかると思うけど
一応自己紹介するで♪」
私と同じクラスの学年の人気者の、
“白銀 零”君だ
「零君まさか…」
「そのまさかやで」
「そっか…」
私どんな顔をしてるんだろうか。
「遊紗…」
「………………」
全部嘘だとだれかいって…
何もかもが嘘だよって。
「遊紗…?」